同じ二つの数、二つの順位
各国についてここにあるのは正確に二つの数である。15歳から24歳の失業率と、労働力全体の失業率。いずれも世界銀行が公表する2024年のILOモデル推計であり、他には何も加えていない。
若者の状況がどれだけ悪いかを言う方法は、明らかに二つある。割れば倍率が出る。若年失業率は全国の失業率のN倍である。引けば差が出る。それをNパーセントポイント上回る。どちらも誠実な算術であり、両者は一致しない。
倍率で並べると、表はカタールの4.41で始まり日本の1.57で終わる。差で並べると、南アフリカの27.97ポイントで始まりカタールの0.44で終わる。数字はひとつも変わらないまま、カタールは首位から最下位へ移る。
| 国 | 若年 15〜24歳 | 全年齢 | 倍率 | 差、ポイント |
|---|---|---|---|---|
| カタール | 0.6% | 0.1% | 4.41 | 0.44 |
| インドネシア | 13.1% | 3.3% | 3.96 | 9.77 |
| インド | 15.7% | 4.2% | 3.77 | 11.57 |
| サウジアラビア | 11.5% | 3.5% | 3.27 | 7.98 |
| アラブ首長国連邦 | 6.4% | 2.2% | 2.97 | 4.27 |
| オーストラリア | 9.4% | 3.9% | 2.39 | 5.47 |
| シンガポール | 6.3% | 2.7% | 2.31 | 3.59 |
| ブラジル | 15.7% | 6.8% | 2.30 | 8.87 |
| メキシコ | 5.8% | 2.7% | 2.15 | 3.08 |
| コロンビア | 19.4% | 9.6% | 2.02 | 9.79 |
| 南アフリカ | 60.2% | 32.3% | 1.87 | 27.97 |
| 日本 | 3.9% | 2.5% | 1.57 | 1.43 |
倍率がこう振る舞う理由
比は分母が小さいと不安定になる。カタールの全国失業率は0.13%である。この土台では、若年失業率0.57%でもう倍率は4.41になる。仮に若年が0.9%であれば倍率は7近くまで上がるが、その二つの率はなお、どの年齢層でもほとんど誰も失業者として記録されない労働市場を描いている。
南アフリカが反対の端にあるのは、算術としては同じ理由、実質としては逆の理由による。全国失業率が32.28%であるため、若年が60.25%、若い働き手の五人に三人であっても、倍率は1.87にしか達しない。この倍率が小さいのは土台が巨大だからであって、若者の状況が良いからではない。
これはデータの欠陥ではない。割り算とはそういうものである。誤りは、倍率を深刻さの尺度であるかのように読むことにある。倍率が測っているのは、絶対的な大きさをすでに捨てた二つの数の関係にすぎない。
若者が実際に直面しているもの
パーセントポイント差は、倍率が捨てる尺度を保つ。南アフリカの若者は全国より27.97ポイント高い失業率に直面する。カタールの若者は0.44ポイント高いだけである。南アフリカの差はカタールの63倍にあたる。
二つの尺度の食い違いは表の中央で最も小さく、両端で最も大きい。そして読者が引用しやすいのは、まさにその両端である。インドとインドネシアは3.77と3.96という高い倍率を、11.6ポイントと9.8ポイントの差の上に持つ。どう読んでも大きな差である。コロンビアの倍率は9.79ポイントの差の上で2.02と控えめだが、その差はインドネシアとほぼ同じであり、倍率は半分である。
とはいえ倍率が無用になるわけではない。一国内で時間を追う場合、分母がゆっくりしか動かないため有益である。ある一時点で国際比較をする場合、全国失業率が248倍も開いている以上、それが順位づけるのは苦境ではなく算術である。
- 調査対象期間に仕事がないこと。
- すぐに働ける状態にあること。
- 実際に求職活動をしていること。
フルタイムで就学し求職していない19歳は、労働力の外に完全に位置する。失業者ではなく、分母にも入らない。若者の就業が少ない国でも若年失業率が低くなりうるのはこのためであり、国によってはその分母が、そこに築かれた比の振る舞いを不安定にするほど小さくなるのもこのためである。
若年失業率は、職に就いていない若者の割合ではない。その分母は若年の労働力であり、三つの条件を同時に満たしてはじめてそこに入る。
データが立証すること
- 2024年、若年失業率と全体失業率の比で並べると、この12か国のうち最も高いのはカタールの4.41、最も低いのは日本の1.57であった。
- パーセントポイント差で並べると、同じ12か国は両端で逆転する。最も高いのは南アフリカの27.97ポイント、最も低いのはカタールの0.44である。
- 南アフリカの差はカタールの63倍であり、カタールの倍率は南アフリカの2.4倍である。
- 南アフリカは2024年に若年失業率60.2%を報告した。12か国で最も高く、全国失業率は32.3%であった。
立証しないこと
- カタールの全国失業率がなぜ0.13%なのか。この二つの指標は率を記録するが、それを生む労働市場の構造は説明しない。本稿も説明しない。
- 高い倍率が常に誤解を招くということ。一国内で時間を追う場合、分母がゆっくりしか変わらないため、実際の情報を持つ。
- 仕事の質、賃金、労働時間、雇用の安定について。失業は仕事を探している人を数えるものであり、働いている人の仕事については何も語らない。
- 2025年や2026年について。12か国すべてで両指標がそろう最新の年は2024年である。
- この12か国がそれぞれの地域を代表するということ。逆転を示すために選んだ範囲であって、標本ではない。
方法
- 指標二つ、1年分。両列とも World Bank Open Data の系列である。SL.UEM.1524.ZS は15歳から24歳の失業率、SL.UEM.TOTL.ZS は失業率全体で、いずれも該当する労働力に占める割合。参照年は2024年、読み取りは2026年8月31日、データセットの最終更新は出典自身の記録で2026年7月13日。
- 倍率と差は丸めていない原値から計算し、表示の段階で丸めている。表に印字された丸め済みの数字から計算し直すとわずかに異なる結果になるが、これは丸めの性質であって不整合ではない。
- これらは国際比較ができるよう調和されたILOのモデル推計である。各国の統計機関が同じ国と年について独自の定義で異なる数字を公表することがある。両者が食い違う場合、どちらが誤りというわけではない。異なる問いに答えている。
- 12か国は倍率の全範囲を、上はカタールから下は日本まで覆い、差の両端も含む。2024年に両指標のデータを持つ国はすべて対象とした。
一次資料
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