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写真:You Le / Unsplash · オーストラリア

市場ウォッチ · 37

オーストラリアの失業率が2021年以来の高さに

失業率は1年で4.4%から4.7%に上がったが、その間に働く人の数も16万8300人増えた。

就業者が増えていても、失業が増えることはある。働く人の数よりも労働力人口のほうが速く増えれば、そうなる。オーストラリアの調査がこの1年について示しているのは、まさにそれである。何が増えたのか、ABSが誰を失業者として数えるのか、なぜ1か月は12か月よりも語ることが少ないのか、そしてオーストラリアで採用をしている人や仕事を探している人にとってそれが何を意味するのかを見ていく。

+55,2002025年9月より増えた失業者
+168,300同じ1年間に増えた就業者
4.7%2026年9月の失業率、季節調整値、2021年10月以来の高さ

オーストラリアの9月の失業率は2021年の水準に戻った

20195.2
20206.9
20214.7
20223.6
20233.6
20244.0
20254.4
20264.7
失業率、オーストラリア、季節調整値、2019年から2026年までの各年9月、%。オーストラリア統計局、Labour Force, Australia、2026年9月、2026年10月17日閲覧。

失業者も就業者も増えた

2026年9月のオーストラリアの失業率は季節調整値で4.7%で、1年前は4.4%だった。これより高い率だった最後の月は2021年10月で、5.2%だった。

失業者はこの1年で5万5200人、8.2%増えて73万2000人となった。同じ1年間に、就業者は16万8300人、1.2%増えて1478万2700人となった。

両方が同時に増えうるのは、労働力人口が22万3500人増えて1551万4700人になったからである。労働力人口とは、就業者全員と失業者全員を合わせたものである。15歳以上の人に占めるその割合である労働力率は66.8%で、1年前は66.9%だった。

出所: 出典
オーストラリア、15歳以上の人、2025年9月と2026年9月、季節調整値、およびその間の変化。率は%、その変化はパーセントポイント。変化は、ABSと同じく端数を丸める前の推計値から計算した。オーストラリア統計局、Labour Force, Australia。
指標2025年9月2026年9月変化
就業者14,614,30014,782,700+168,300
失業者676,800732,000+55,200
労働力人口15,291,20015,514,700+223,500
失業率4.4%4.7%+0.3
労働力率66.9%66.8%-0.2

調査が数えるもの

失業者とは、有給の仕事がなく、仕事を探していて、すぐに働き始められる人である。オーストラリア統計局は、給付の申請からではなく、毎月の世帯標本調査で彼らを数える。

就業者には、調査週に少なくとも1時間の有給の仕事をした人がすべて含まれる。調査は仕事の数ではなく人を数えるので、二つの仕事を持つ人も1人として数えられる。

失業率は人口ではなく労働力人口に占める割合である。1551万4700人の労働力人口のうち73万2000人が失業者なら、4.7%になる。

出所: 出典これが数えているもの
  1. 失業者。調査週に有給の仕事がまったくなく、積極的に仕事を探していて、すぐに働き始めることができた15歳以上の人、または仕事を始めることが決まっていた人。給付の申請からではなく、世帯を対象とする調査で数えられる。
  2. 就業者。調査週に少なくとも1時間の有給の仕事をした人、または仕事を持ちながら休んでいた人。調査は仕事の数ではなく人を数え、その数はこの1年で増えた。
  3. 季節調整値とトレンド値。同じ調査による二つの推計値である。季節調整は毎年決まって表れる暦の上の動きを取り除き、トレンドはさらに調査の月ごとの振れもならす。ABSは基調の方向を見るにはトレンドを推奨している。

したがって、4.7%という失業率は、オーストラリアで仕事が失われたということではない。就業者は1年で16万8300人増えた。言っているのは、労働力人口が22万3500人増え、その増加のうち5万5200人が、仕事がなく仕事を探している人だったということである。

一つの調査に、二つの数と二つの読み方があり、そのどれかを忘れた読み方は、出典が言っていないことを言う。

1か月と1年

9月の1か月だけで見ると、就業者は3万9300人減り、失業率は0.1ポイント上がった。ABSは、前月からの変化を慎重に扱うよう求めている。標本調査は、労働市場が動いていなくても月ごとに振れるからである。

その振れをならすトレンド値も、この1年で同じ方向を示している。失業率は4.3%から4.6%に上がった。トレンド値では、失業者は6万6000人、就業者は21万800人増えた。

2019年から2026年までの各年9月のうち、失業率が最も低かったのは2022年と2023年で、3.6%だった。パンデミックのさなかの2020年9月は6.9%、2021年9月は4.7%で、2026年と同じだった。

出所: 出典
オーストラリア、15歳以上の人、2019年から2026年までの各年9月、季節調整値。率は%。オーストラリア統計局、Labour Force, Australia。
9月失業率失業者就業者労働力率
20195.2%711,80012,903,90066.0%
20206.9%931,20012,521,00064.6%
20214.7%632,90012,828,80064.4%
20223.6%510,30013,675,70066.5%
20233.6%519,50014,097,90066.5%
20244.0%603,00014,451,10067.1%
20254.4%676,80014,614,30066.9%
20264.7%732,00014,782,70066.8%

これらの数字が語らないこと

理由は語らない。金利も、移民も、人口増加も、どの産業も、ここでは何も測っておらず、いかなる政策も評価していない。

仕事が失われたとは言っていない。就業者はこの1年で増えた。賃金についても、どの州や準州についても、誰かがどれだけの期間仕事を探しているかについても、何も語らない。

オーストラリアを比べている相手はオーストラリア自身だけであり、このいずれも予測ではない。

あなたにとっての意味

オーストラリアで採用をしているなら

2026年9月、オーストラリアでは73万2000人が失業者だった。有給の仕事がなく、仕事を探していて、すぐに働き始められる人である。1年前より5万5200人多く、8.2%の増加である。仕事を探す人の層が厚くなったからといって、あなたの求人に何人が応募してくるのか、どんなスキルを持っているのかは分からない。分かるのは、経済全体で見て、1年前より多くの人が働ける状態にあり、仕事を探しているということである。

オーストラリアで仕事を探しているなら

9月までの1年間に就業者は16万8300人増えており、経済は働く人を増やし続けた。しかし仕事を探す人の数も増え、失業率は4.4%から4.7%に上がった。月ではなく年で読んでほしい。9月に就業者が3万9300人減ったのは、ABSが読みすぎないよう求めている、1か月だけの動きである。

数え方

方法

  1. 一つの公表資料。オーストラリア統計局のLabour Force, Australia(2026年9月)で、2026年10月15日に公表された。15歳以上の人、季節調整値とトレンド値を、ABS Data APIを通じて2026年10月17日10:46(+01:00)に読んだ。
  2. 数字。水準は千人単位で公表され、ここでは百人単位に丸めた人数で示す。732.0千人は73万2000人である。変化と割合は、ABSと同じく端数を丸める前の推計値から計算している。1478万2700人と1461万4300人の差が16万8300人の増加と表示されるのはそのためである。
  3. 2021年10月以来。比較には端数を丸める前の季節調整済みの率を用いた。2021年11月から2026年8月までのどの月も2026年9月ほど高くはなかったが、2026年8月も四捨五入すると4.7%になる。季節調整済みの系列は1978年2月に始まる。
  4. トレンド値。ABSは基調の方向を見るにはトレンド値を推奨しており、新しい月が加わるたびに直近の数か月を改定する。パンデミックの期間にはトレンドの断絶を示しているため、ここではトレンド値を2025年9月から2026年9月までについてのみ比べる。
  5. 限界。標本調査には標本誤差が伴う。2026年5月から8月にかけて、ABSは労働力調査の刷新の一環として一部の質問とローテーション・グループを変更した。ABSは9月の数字を利用に適すると判断しており、比較可能性が低いとABSが示す項目はここでは一つも使っていない。州、賃金、原因については、ここでは何も扱わない。
データが示すこと、示さないこと

データが立証すること

  • オーストラリアの失業率は2026年9月に季節調整値で4.7%となり、1年前の4.4%を上回って、2021年10月以来の高さとなった。
  • この1年で、失業者は5万5200人増えて73万2000人に、就業者は16万8300人増えて1478万2700人になった。
  • 労働力人口が22万3500人増えたため、失業者と就業者がともに増えた。
  • ABSが基調の方向を見るのに推奨するトレンド値の失業率は、4.3%から4.6%に上がった。

立証しないこと

  • 理由。金利、移民、人口増加を含め、いかなる原因も測られていない。
  • 仕事が失われたということ。就業者はこの1年で増えた。
  • 9月に就業者が1か月で3万9300人減ったことが何を意味するか。ABSは1か月だけの動きを慎重に扱うよう求めている。
  • 賃金のこと、どの州や準州のことも。
  • 失業がこの先も増え続けるかどうか。ここにあるものはいずれも予測ではない。
一次資料

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